公益社団法人 色彩検定協会 は、一般財団法人日本色彩研究所の協力のもと「2022年の気分を表す色」及び「2023年への願いを表す色」について調査しました。尚、調査は2020年から実施しており、コロナ禍3年間の色彩傾向の推移も分析しています。

調査では、20代から60代の日本人男女全国4,496名を対象にオンライン調査を実施。有彩色70色、無彩色5色の合計75色から回答して頂きました。
「2022年の気分を表す色」について男女とも1位は「黒」でしたが、2位以下について男女に違いが見られる結果になりました。
「2020年の気分を表す色」では多くの人が「黒」を中心とした暗い無彩色を選んでいましたが、2021年以降は「白」などの明るい色も上位に入るような変化がみられました。
一方で「来年への願いを表す色」について、2022年の調査では男性は「白」、女性は「ピンク」が1位になりましたが、「黄色」や「赤」、「オレンジ」、「ライトグリーン」などが男女共通して上位に選ばれました。
2020年の調査では、活動的な「ピンク」、「黄色」、「赤」が選ばれていましたが、2021年の調査はやさしくおだやかな「白」「ピンク」「黄色」に変化。コロナ禍も落ち着き、無理をせずとも穏やかな日々が訪れている心の変化が色彩傾向にも表れている結果がでました。
<調査結果サマリー>
■「2022年の気分を表す色」: 男性よりも、女性は「軽快な色」を選ぶ傾向に
男女共に1位は「黒」でしたが、男性が黒に続いて2位以下も「白」や「グレイ」などの無彩色が占めたのに対して女性は2位からは「ピンク」、「白」、「明るいオレンジ」や「黄色」と続き、2位以下に男女差がありました。
■「2023年への願いを表す色」: 男女とも、「白を含む、明るい暖色系」を選択
男性が選んだ色が一番多かったのは「白」。2位以下には「鮮やかな黄色」、「明るい黄色」と続きました。
女性の1位は「ピンク」で、2位以下に「明るいオレンジ」や「黄色」が続き、男女共に明るい黄色や赤などの暖色を選んだ人が多いという結果になりました。
■2020年~2022 年のコロナに翻弄された人々や社会の気持ちを色の変化が表す結果に
コロナ禍が突然始まった2020年。その年の気分を表す色は1位「ダークグレイ」「黒」や「グレイ」が上位を占めていました。コロナ収束がまだ見えなかった2021年。彩(いろど)りをもたない「無彩色」が上位のままでしたが、「白」が大きく順位を上げました。ようやく終わりが見えてきたように思えた2022年。2021年と大きな変化はなかったものの、明るい黄色や暖色が増加。コロナ禍を通して、社会や人々の心の変化が色彩傾向に現れました。
<アンケート調査概要>2022年
■調査名称:今年の気分、来年への願いを表す色 色彩調査
■調査期間:2022年12月25日~2023年1月9日
■調査方法:インターネットリサーチ
■調査対象:全国 20代~60代の日本人男女 4,496人
<調査詳細:「2022年の気分を表す色」及び「2023年への願いを表す色」について>
Q. あなたの今年(2022年)の気分、心境を表すのに一番近い色の番号を入力してください。

1位は男女共に「黒」となり、男性では5位までを「白」や「グレイ」の無彩色が独占し、6位から「水色」、「黄色」、「青」が登場しています。女性では2位以下になると「ピンク」、「白」、「明るいオレンジ」や「黄色」など明るい色が多く選ばれました。また1位の「黒」の選択率は男性より女性では随分と少なくなっています。「黒」は重厚で静的で重苦しさが強く感じられる色です。男性は2位以下も動きがなく冷たい印象の無彩色を選んだ人が多いのに対して、女性では軽やかでやわらかな印象の色を選んだ人が多いという結果でした。尚、年代や地域による違いははっきりとは認められませんでした。
Q. 来年(2023年)はこうあってほしいというあなたの気持ちを表す色に一番近い色の番号を入力してください。

男性の1位は「白」、女性の1位は「ピンク」という結果でした。男女とも「黒」や「グレイ」は見当たらず、「明るい黄色」や「赤」などの暖色系が続き、男性は「緑」や「青」も含まれています。男性が1位に選んだ「白」にはピュア、クリアー、静かなというイメージがあり、女性が1位に選んだ「ピンク」にはやわらかい、やさしい、ぬくもりというイメージがある色です。男性には「白」という静的な気分はまだ残るものの、2023年は明るい年になってほしい、という願いが男女共に色に反映されていることが伺えました。
尚、こちらにも年代や地域において、はっきりとした差は認められませんでした。
- 調査結果詳細┃コロナ禍3年間の色彩傾向の推移
〇2020年~2022年 「今年の気分を表す色」 の時代による変化
選ばれた色とその色が表すイメージの変化を示します。【男女全体】

2020年調査 | ・1位はダークグレイ。グレイと黒が上位(暗い、重い) ・5位に青(冷たい気分) ・イメージ:「重く・じっとしていて・冷たい」 |
2021年調査 | ・無彩色が上位のままだが、白が大きく順位を上げる(静的+明) ・5位に明るい黄色 (明るい兆し) ・イメージ:そこに「軽さ・動き」も出てきた |
2022年調査 | ・2021年と大きな変化は見られない。 ・僅かではあるが、オレンジ系の低下、黄色系の増加 ・イメージ:依然「重く・じっとしていて・冷たいが、軽さ」が少し増す |
〇2020年~2022年 「来年への願いを表す色」 の時代による変化
選ばれた色とその色が表すイメージの変化を示します。【男女全体】

2020年調査(21年への願い) | ●選ばれた色 :「ピンク」「黄色」「赤」「オレンジ」●色のイメージ:動的で、元気に、軽快で明るく●心情 :とても「活動的」(活動への希求) |
2021年調査(22年への願い) | ●選ばれた色 :「白」「ピンク」「黄色」●色のイメージ:重苦しくない軽やかさ●心情 :赤、オレンジの活動イメージから 白の軽くピュアな印象、ピンクのぬくもりややさしさへ |
2022年調査(23年への願い) | ●選ばれた色:※2021年と大きな変化は見られない●心情 :前年から大きな変化は見られない |
一般財団法人日本色彩研究所 名取和幸 氏よりコメント
色が人に与えるイメージデータを活用すると、選ばれた色から人の気持ちを探ることができます。そうしてみると、この調査結果から、コロナ感染が始まった2020年からの3年間における生活者の気持ちの変化を色から読み取ることが可能です。
2020年は「暗いグレイ」の1年でした。重苦しく身動きが取れない生活が色に反映されています。
しかしながら21年年末になると「白」が上位に登場し、まだ暮らしに彩りは戻らないものの気持ちは大分軽く明るくなってきたといえるでしょう。
とはいえ男性の気分の回復は遅く22年年末でも色みがある色が選ばれていません。一方で女性は自分の気分を表す色に「ピンク」や「明るい黄色」なども挙げられ、やわらかでやさしい日常が戻りつつあるようです。
また翌年への期待の色として2020年は活動を取り戻すエネルギッシュな「赤」が入っていましたが、21年からは「明るい黄色」や「白」が登場し、そこまで無理をせずとも自然に軽やかで穏やかな日々が訪れてくることへの願いに変わってきているようです。
今年の終わりに選ばれる色はどんな色でしょうか。昨年の年末に期待されていた色に近いことを願っています。