東日本大震災から10年。災害時に助け合えるのはどの街?東京都を含む(1都4県)の地域の助け合う力の実態を調査~災害時、近所の知人を「助けに行く」と回答した人は約25%という結果に。

街ごとの住民の供助力をご紹介します※写真はイメージです

先日迎えた3/11(木)は、東日本大震災からちょうど10年という特別な日でした。

株式会社リクルート住まいカンパニーは、株式会社百年防災社監修のもと災害発生時に求められる”住民の共助力”に関する実態調査を実施。

1 都 4 県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県)の 1,076 駅を対象とした調査結果を得点化、そのうち偏差値が70以上の街を発表しました。

新型コロナウィルスの影響で、働く場所が自由に選べる時代。今後、住む街選びの参考にできるだけでなく、自身が住んでいる街に改めて目を向け、災害時に近所とのつながりを考えるきっかけとなれば幸いです。

また、コミュニティ形成に積極的に取り組んでいる街や企業の事例も併せてご紹介します。

【「街の共助力調査」調査概要】
■調査目的   関東圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県)の街(駅)について、街の「共助力」
        を明らかにすること。
■調査対象   関東圏にある各駅に在住していると回答し、各駅から7km以内もしくは駅と同一の市区町村に
        在住の20歳以上の男女
■調査方法   インターネットによるアンケート調査
        1次調査にて、住んでいる街が好きかを調査。2次調査にて1次調査回答者の一部に対して、
        「共助力」などについて調査した。
■調査期間   1次調査(スクリーニング調査):2021年1月14日(木) ~ 2021年1月25日(月)
        2次調査(本調査):2021年1月27日(水)~ 2021年2月1日(月)
■有効回答数      ●1次調査対象数:1,619,998人
        1次調査回答数:388,145人(うち、各調査会社のパネル構成比を前回(2020年)調査にそろえた
        結果、327,004人を分析対象とした)
        [共助力についての設問はこちら]
        ●2次調査対象数:57,185人
        2次調査有効回答数:42,947人​
■集計対象駅数 当該の都府県にある駅のうち、夜間人口(2015年 国勢調査 250mメッシュ)上位800駅もしく
        は乗降客数(2017年国土数値情報 駅別乗降客数データ)上位800駅のいずれかに該当する駅と
        2019,2020年に新しく開業した駅の合計1,169駅
■集計方法   最寄駅を最大2つ回答してもらい、2つ回答した対象者の評価は重複して集計
■調査実施機関   株式会社インテージ
■ランキング対象駅の選出基準  2次調査で20人以上の有効回答が得られた1,076駅を対象として集計を行っ
                た。具体的なランキングの算出方法は以下。

【街の共助力 偏差値70以上の街】

今回SUUMOでは、住民を対象にしたアンケート調査を行い、街ごとの「共助力」を可視化しました。(「共助力」の定義・調査概要はP7をご参照ください)「近所に知り合いがいるか」をベースに、「その人の家の場所や連絡先を知っているか」、「災害時に助けるか」などを聞いています。

その結果、1都4県で近所に知人がいる人は46.5%、災害時にその知人を助けに行くと回答した人は約25%という結果になりました。

今回は結果の一部として、共助力の偏差値が70以上の街を得点順に集計しましたのでご紹介します。

「街の共助力調査」 SUUMO調べ
「街の共助力調査」 SUUMO調べ

 ◆1都4県

「街の共助力調査」 SUUMO調べ

【東京都】

「街の共助力調査」 SUUMO調べ

【神奈川県】

「街の共助力調査」 SUUMO調べ

【埼玉県】

「街の共助力調査」 SUUMO調べ

【千葉県】

「街の共助力調査」 SUUMO調べ

【茨城県】

「街の共助力調査」 SUUMO調べ

上記のデータ結果によりますと、1都4県で最も共助力が高かったのが、千葉県千葉市の駅「西登戸」。

次いで、神奈川県「大磯」、3位に東京都「駒沢大学」・神奈川県「三崎口」という結果になりました。

ランキングには戦前から長く人が住んできた街や、一度に多く人が移り住んでから住民がコミュニティを築き上げてきた古くからの分譲地が挙がっています。

長期間、住み続けている層だけではなく、若者や新たに加わったファミリー層など、幅広い世代間の交流が活発な街のほうが、より共助力が高いようです。

1位の「西登戸」は、京成千葉線で京成千葉駅まで約2分のところに位置する住宅街。駅の東側は別荘地として開発され、今では閑静な住宅街が広がっています。

南側は徒歩数分のところには国道14号、国道357号が通り、国道を越えた海側は埋め立て地となっていて『千葉幸町団地』や『千葉ガーデンタウン』など大規模な集合住宅が広がっています。

西登戸自治会主催の「福寿 石尊神社御霊渡御」では毎年子ども神輿を行い千葉登戸の文化として継承されています。また登渡神社では例年9月に「例祭神輿渡御」を執り行うなど、古くから継承されてきた地域イベントが今もなお、地域住民のつながりを強める一要素になっているのかもしれません。

2位「大磯」は「湘南」発祥の地とされ、国内最初の海水浴場が開設されるなど緑と海に囲まれた自然豊かな街です。高齢化に伴う街の衰退化を打破すべく、2010年9月から始まったのが『大磯市』。

毎月第3日曜日に大磯港に190前後の店舗が出店する神奈川県下最大の朝市で、大磯に関係のある個人、法人を中心に出店されています。

出店者と来場した人の双方のコミュニティを大切にしており、まさに近所で顔見知りに出会ったり交流を深めるのによい場となっているようです。

このほかにも、町会が定期的に催すイベントや、一般社団法人あそびの庭が地域交流を目的とした活動をしていたりと街自体が積極的にコミュニティ活動を行っているといえそうです。

3位「駒沢大学」は、駅名のとおり『駒澤大学』があり若者はもちろん、住宅街が広がりファミリー層やシニアまで幅広い年代の方が住む街です。

1964年に東京オリンピックの第2会場として開園した『駒沢オリンピック公園』もあり、ここは東京都の地域防災計画において大規模救出救助活動拠点に指定された防災公園でもあります。

そのため、普段から自治体や自治会等との合同防災訓練の実施や防災意識向上に向けた情報発信を積極的に行っている地域でもあります。

また、防災のみならず、犬の散歩やジョギング、子どもたちの遊び場として日常的に住民同士の交流が生まれやすいのもこういった大きな公園のある街の特徴といえるでしょう。

同率3位の「三崎口」は、神奈川県三浦市に位置する海沿いの街。三浦市は「消滅可能性都市」ともいわれ、高齢
化や人口減少に直面していましたが、行政や民間の工夫により空き家の再生や起業家の誘致に積極的に取り組んでいます。

地域活性にかかわりたい若い起業家たちが流入し、新たな店舗やビジネスを通じて地元住民との交流を生み出していることも共助力の高さにつながっているのかもしれません。

「三崎下町商店街」も、昔ながらの店に加え近年は東京からの移住者が店を構え、新旧が融け合い活気を取り戻しています。港町で歴史的にも内外の人たちの交流が盛んなため、外の人を受け入れやすいという背景もありそうです。

【災害時に求められる、“共助力”とは?】
災害時に重要なこととして、「自助」「共助」「公助」の3つがあります。

内閣府「防災白書」(2014年)によると、阪神・淡路大震災における生き埋めや閉じ込められた際の救助主体のうち、「自力で脱出」34.9%、「家族」31.9%という自助に次いで、「友人・隣人」28.1%と、共助によって命拾いをしている割合が高くなっています。

発災直後からインフラ復旧までの間、生き延びるために必要な2種類の共助を百年防災社が定義しています。

「街の共助力調査」 SUUMO調べ

① ご近所共助(半径400m圏内・徒歩約5分)
発災直後に、おもに自宅周辺で助け合うことができる力を示します。地震の場合、家具の転倒や建物の倒壊により下敷きになってしまうなど、動けない状態になっても公助での救助はすぐに受けられないケースも多いため、近隣住民による救助が必要になります。

また、インフラや公共交通機関の停止も想定されますので、在宅している家族の安否確認をする上でも大切な助け合いになります。
※徒歩5分:救急車到着時間をもとに百年防災社で定義
※『不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)』である、「1分=80m」に基づき半径400m圏内と設定

② 徒歩圏共助(半径4㎞圏内・徒歩約1時間)
発災当日からインフラが復旧するまでの間は、避難所や在宅での避難生活が求められます。このときも、自治体やご自身で準備している防災用品を使用して生活するのはもとより、それ以外に情報収集や孤立を防ぐといった近隣住民との連携が求められます。

特に、避難所間の情報共有はとても重要となるため、通信手段が途絶えている場合でも徒歩で行き来できる範囲として半径4㎞圏内(徒歩約1時間)での共助が必要とされます。

【共助力につながる街の取り組み事例】
20~40代が参加!つながりの輪の連鎖がどんどん広がる 渋谷区 「渋谷おとなりサンデー」
「渋谷おとなりサンデー」とは区が提案する、個人、グループ、企業、団体、町会、PTAなど形態を問わずに何かしてみようという人たちのイベントをバックアップしていくというもの。

ゴミ拾いやマルシェ、カフェでボードゲームなど活動内容はさまざまで、やることが決まったら、何をどこでやるのか具体的な実施内容を運営サイトに投稿し、参加者を募ります。

渋谷区民以外も参加できるのが特徴で、参加者の中心は20~40代の会社員が多く、特に子育て世帯からの呼びかけ、参加が多いそうです。

渋谷という場所柄、最近は区内にある企業が主体となる企画も増えており、コロナ禍で、リアルでのイベントができない中、オンラインを活用した企画も実施され、これまで、イベント参加は敷居が高いと感じていた人たちがより気軽に参加できるようになったという面も。

おとなりサンデーに参加して知り合いになったことをきっかけに、そこからまた次の企画を提案する人たちも現れ、町会に加入しているかどうかによらず、昔から住む人・新しく引越してきた人など住民の垣根を越えた交流が生まれているそうです。

画像提供:代々木深町フカマルシェ実行委員会、渋谷おとなりサンデー運営事務局

葛飾区、江戸川区、江東区を中心に活動する地元住民による地域コミュニティ 「ハハモコモひろば」
「ハハモコモひろば」は、2009年ごろに設立された「母の会」を現メンバーが引き継ぎ、活動範囲を葛飾区・江戸川区・江東区エリアとし、2015年には、「母も子も集える場」という意味の「ハハモコモひろば」と名称変更をして、地域のママやその子どもたちに交流の場を提供しているコミュニティ。

代表ナオさんをはじめ、葛飾・江戸川・江東区エリアに居住する住民らが現在4名体制で運営。育児に関する座談会から、育児とは一見関係のないボイストレーニングの講座、さらにはブース出店をし、親子で楽しめるような地域イベントを開催したりと幅広く活動。

コロナ禍では、リアルでのイベント開催が難しい中、ZOOM体験を兼ねたママ交流会をオンラインで開催したり、動画の制作講座など、オンラインならではのテーマで活動を続けています。「パパママ防災講座」と題し、防災をテーマにした講座も開催。


子どもが生まれるまで近所に知り合いがいなかったと話す代表ナオさん。

出産をきっかけに、コミュニティで近所のママとのつながりができたそうです。

買い物先のスーパーで会って話をするなど、日常生活での交流はもとより、災害時にこういったコミュニティ間での情報交換や助け合いにもつながるとして、今後もさまざまな交流の機会をつくっていきたいそうです。

画像提供:ハハモコモひろば

企業が主体となりマンションと地域町会の連携を進める事例も
マンションの場合、災害時は在宅避難が基本とされるため、マンションごとに備蓄品を用意するなど、マンション管理組合内での防災を意識した取り組みは近年増加傾向にあります。

さらには、マンション内だけでなく町内会との連携を進める取り組みに力を入れているマンションデベロッパーもあります。

「イニシア日暮里テラス/アベニュー」では、マンション契約者に対し防災セミナーをオンラインで開催。マンション自体の備蓄品、防災対策に関する説明のみならず、地域との共助が必要であることを訴求しています。

災害時、行政からの物資は避難所に届くためマンション居住者も避難所まで受け取りにいく必要がありますが、事前に連携が取れていないと混乱を招きスムーズに受け取れないことも想定されます。普段から町会との関係性を構築しておくことも大切といえそうです。

【共助力を高めていくために、個々人がまずできることは?】

百年防災社の代表葛西優香さん

今回の調査結果を受けて、共助力を高めていくためにできることを百年防災社の代表葛西優香さんに伺いました。
上位の街は、昔ながらの商店街などから形成されたつながりがある駅、再開発が行われ新築マンションなどの建設から新しいコミュニティが形成されている駅と、つながりのあり方に違いがあります。

助け合えるつながりがないと思った方は、まず自分の住んでいる街を知ることから始めてください。街の特徴にあった「共助」の形をそこに住む住民が描き、築くことが必要です。まずは、「自分の住む街を見渡してみる」、その一歩から一緒に始めてみませんか?

株式会社百年防災社について
百年防災社は、「みんなで、生き延びるんだ。」という理念のもとに、2020年春に防災スタートアップとして設立。地域の人々と地区防災計画や避難所運営マニュアルを作成。また、大学生と協働し、地域で防災活動を推進する人材育成を行う。防災動画コンテンツのナレーション、制作/発信、シンポジウムの司会進行なども請け負い、日本全国に「防災」の大切さを広めることをミッションとしている。

【ご自身の共助力について知ることができます】
ご自身の現時点での共助力について簡単な診断テストで判定することができます。

詳しくは特設サイト『社会が変われば、住まいも変わる。』(https://suumo.jp/edit/oudan/newnormal/) をご覧ください。公開は、3月下旬を予定しております。

※画像はイメージのため、実際の公開内容と異なる場合がございます。



<「共助力」の算出方法>
「ご近所」(自宅から半径400m圏内)と「徒歩圏」(自宅から半径400m〜4km圏内)のそれぞれの距離圏で当てはまる項目を選択方式で回答してもらい、各項目(①助ける力✕ご近所 ②助ける力✕徒歩圏 ③助けられる力✕ご近所 ④助けられる力✕徒歩圏)の合計の平均値でランキングを作成。また、その平均値を偏差値化した。
本リリースでは、偏差値70以上の駅(街)を公表することとしました。


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